当日の朝 祈るように、唄うように、彼女は振り返った。 まるで白装束だ。死地にさえ望んで赴く覚悟に、僕はもう何も言えなかった。
―どうか私を殺してください、神様―
酷く神聖に映るその仕草に、息さえ出来なくなる。眩しくて吐き気がした。
それでも一生懸命、笑顔だけは作ろうとしたんだ、涙で彼女が歪んでも。
あれ、僕は上手く笑えてる?
BACK NEXT