Folio Vol.6 Horror

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この夏のホラー映画

ホラーの発展の歴史は映画とともにあったと言っても過言ではない。物語とともに、映像は人々の恐怖を煽り、そこに存在しないものを存在してるかのごとく描き出し、あたかも、何かが、そこにある/いる状態を現前させてきた。物語を読む。映画を観る。そしてそれらの体験によって恐怖を味わうことは、一路逆転し、現世を肯定してゆく過程なのかも知れない。この世に恐怖は生まれ、そして消費されてゆく。消費されることは現実に我々の世界にそれらの恐怖が頒布されてゆくことでもあるのだ。

映画。それはホラーというものと共に歩むのである。

今年も恐怖は徐々に街を浸食してゆく。

The Devil's Backbone

空の青、荒野の黄砂、内戦下スペインの乾いた大地の明るさ全てを飲み込む程の重厚感を覚える孤児院に、カルロスは連れて来られた。十二番目のベッドを与えられた少年に近付く姿の無い足跡は、かつてそこで殺された少年サンティのもの。怨みを晴らすための協力とこれから起こることを訴えるサンティ。やがて、濁った水を湛える地下室で、怨念を中心に渦巻く恐怖と惨劇が始まる。全ての枠組みを越えた、未開拓の恐怖体験!

公式サイト:http://www.akuma-no-sebone.com/

四人の食卓

結婚直前のジョンウォンはある日、幸せな家庭を夢見て用意した四人がけの食卓に殺された少女たちが座っているのを目撃した。同じマンションの住人ヨンもそれを目撃し……。七歳までの記憶が無い男と、過去を見通す力を持つ女。宿命に引き寄せられ運命が交差する時、いくつかの事件と登場人物が一つにつながり、封印された恐ろしくも哀しい記憶を蘇らせる。『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが不思議な力を持つ繊細な女性の心を演じる。

上映中
公式サイト:http://www.4table.jp/

箪笥

怨霊に憑かれた家の怪奇現象と、おかしくなっていく継母に襲われる美しい双子、壊れていく家族。忘れ去られていた全ての恐怖を支配する記憶は、妹の部屋にある箪笥の扉の奥に隠されていた。スピルバーグが最高額でリメイク権を獲得した究極の号泣アジアンホラー。双子の悲劇を描く韓国古典怪談「薔花紅蓮伝」を下地に常套を踏まえながら、人間の奥底にある恐怖を鮮明に描き出す。美しさと哀しさの余韻を持つ一本だ。

7月24日より銀座シネパトス他にて公開
公式サイト:http://www.tan-su.jp/home.html

ヒューマン・キャッチャー

農場で父を手伝っていた少年が謎の怪物に襲われた。翌日、通りかかったスクールバスがパンクを起こし、そこへ立ち往生してしまう。発炎筒を片手に攫われたコーチ……空から襲い掛かってきたのは人を餌にするクリーパーだった。武器を携えた少年の父タガートと化け物の壮絶な戦闘が始まる。前作『ジーパーズ・クリーパーズ』の四日後を舞台にやってきたサバイバル・ホラー。あなたはこの恐怖から生き残れるか!?

上映中
公式サイト:http://www.foxjapan.com/movies/humancatcher/

友引忌

大学を卒業して二年、ヘジンはサークルの仲間と感動の再会を果たす。何かに怯える友達を問い質すと、彼女は言った。自殺した友人ギョンアが自分を見ているのだ、と。生前のギョンアの周りでは、頻繁に怪奇現象が起こり、それが関係をギクシャクさせていた。やがて大学時代の友達に次々と思わぬ再会が訪れ、その背後を死の恐怖が襲う。撮影中にまで不可解な事故が続発。あなたはどの友達と観に行く?

7月3日より新宿シネマミラノほか全国ロードショー
公式サイト:http://www.tomobiki.jp/

狐怪談

女子寮に伝わる、狐の霊が潜む二十八段の怪談。心から願いを込めて上ると、二十九段目の階段が現れ、願いが叶うという。欲望、祈り、切望に満ちた三人の少女の願いは叶い、そして同時に呪いが訪れる。そう、彼女たちは惨たらしい死も、恐怖も、何もかもを望まざるを得なかったのだ。怪談は伝染病のように密かに少女たちに伝播し、巻き込んでいく。十代の少女が抱える光と闇を新人女性監督ユン・ジェヨンが描き出す作品。

8月7日より新宿武蔵野館にてレイトロードショー
公式サイト:http://www.kitsunekaidan.net/

怪談新耳袋

毎晩、謎の手に首を絞められる女、ガードマンが目にする亡者の群れ、奇怪な音と共に煙草の煙を残して消える仲間、ビデオの中で女子高生を睨み続ける看護婦。BSで放送されていたショートフィルムがとうとう劇場版にて登場! ジャパニーズ・ホラーの新機軸を築いた本作品はこれで65話目を数える。制作予定は99話までであり、100話目は、あなた自身が語る番となるだろう。怪しきものは、あなたのすぐ隣に……。

公式サイト:http://www.actcine.com/sinmimi/
writer : 稲木さとし Web Page: 稲城総合企画社