キシリトール
石川
とりあえず100のお題を作ってみて、それで、絵と写真と文章との投稿と書き込みをするっていうのがいいかな、と思いました。ホラーというか、100物語か。ちょっといまから「お題」考えてみます。
20 名前: サイキ 投稿日: 2004/04/27(火) 02:07
適当に考えてみた。アイテムって感じになった。。。
ホラーというか怖いものリストだな。こりゃ。
1 血 2 ぬらりひょん 3 小豆とぎ 4 骸骨 5 ナイフ 6 誰もいなくなった 7 カッター 8 電気 9 人形 10 長い髪 11 小人 12 エレファント・マン 13 烏 14 バラバラ死体 15 首 16 呪いのビデオ 17 チェンソー 18 化け猫 19 大蛙 20 女と刃物 21 男とトンカチ 22 壁に浮き上がる顔 23 墓 24 鶏の首/足 25 地震 26 火事 27 斧 28 足がない 29 火の玉 30 狼男 31 悪夢 32 花子さん 33 魔女 34 鬼 35 腐乱死体 36 鋸 37 時限爆弾 38 井戸の中 39 ぶつぶつ(ちいさなものがたくさん) 40 暴走機関車 41 密室 42 水 43 銃 44 フレディー 45 電波 46 巨大なもの 47 だいだらぼっち 48 心 49 隣人 50 UMA 51 インプリンティング 52 キャトルミューティレーション 53 過去の罪悪 54 不可思議なメール 55 取り囲まれる 56 百合の花 57 闇 58 影 59 電話 60 金 61 ドッペルゲンガー 62 雪男 63 性癖 64 尖ったもの 65 毒 66 まむし 67 湖畔のキャンピング 68 長いもの 69 高い場所 70 まんじゅう 71 静寂 72 百足 73 ネズミ男 74 お岩さん 75 電車 76 子供 77 皮膚 78 爆弾 79 砒素 80 犬 81 廃墟 82 悪魔 83 神 84 愛 85 針千本 86 蛇 87 〆切 88 長い爪 89 かあちゃん 90 熱湯 91 壺 92 ゴキブリ 93 ネット 94 雨の夜 95 炎 96 先端 97 怨念 98 霧 99 曲げられる 100 自分
血を流すぬらりひょんが小豆とぎと雑談している。骸骨が暗い空を舞う荒涼とした荒地でそれは一枚絵のようになっていた。ナイフが枯れた木々に突き刺さり、相合傘を刻んだとき、そこには誰もいなくなった。カッターを持ち電気を消し人形のような長い髪を生やした少女は小人に話しかけながら手首を切る。 エレファント・マンが烏に喰われている。少女は窓外に展開されるその光景を見て、少し微笑んだ。バラバラ死体になりたい。でも首から切りたい。どうしよう。なれない。夢打ち砕かれた少女は呪いのビデオにでも出てきそうな目付きでチェーンソーを振り回す。化け猫がにゃあと鳴く。大蛙が腹を出す。 一切のことがらをなぎ倒したくなった少女はしかしチェーンソーを持て余す。女と刃物が残った部屋。男とトンカチが闖入する。壁に浮き上がる顔との鼎談となり、結論として墓に参ろうと議決された。鶏の首/足を墓前に添える。地震が起こり、火事が起こり、これは大地と町内の皆様の祝福だと思った。斧を持って愛する彼の足を切りここに留まって欲しいと願うも足がない。 火の玉が乱れ飛び、キャンドルサービスです、と狼男が恭しく礼をする。悪夢のように綺麗ね、と少女はトンカチ男に話しかけるが、男は花子さんとよろしくやっている。ふっ、と二人が掻き消え、少女は夢心地で椅子に座る。魔女たちが墓の中のテーブルに付く。相席よろしいですか、の一言もない。やがて鬼が魔女を迎えに来て、入れ違いに礼儀正しい腐乱死体が「相席よろしいですか、マドモワゼル」ときたものだから鋸でグチャグチャにしてやった。 肉片の一つ一つが礼儀正しく「見事なお手前で」とかぬかしやがるものだから、時限爆弾の使用も止む無かったことと言えるだろう。墓地の敷地内にある井戸の中で体を洗う。体にこびりついた肉片を洗い流す。ぶつぶつ(ちいさなものがたくさん)、ぶつぶつ(ちいさなものがたくさん)、汚い。臭い。肉片は暴走機関車のような臭いで鼻にアプローチしてくる。このせまい密室の中、水が次第腐った臭いになっていくのは耐えられない。 乙女の恥じらいが井戸の蓋を閉じさせたが、それを不調法に開き、銃を持ったフレディーが話しかけてきた。電波の調子が悪いのですが、何か、何だったか、あの、巨大なものがこのあたりにありますか?、と、駅前にいそうな外人みたいな調子で携帯電話の不調を訴えてくる。こちらは裸だ。乙女だ。いい加減にしろ。怒り心頭でだいだらぼっちでもいるんじゃないですかね!と返答すると、彼は紳士的な笑顔で、そうですか、ありがとうございます、と会釈して去っていったので、心が痛んだ。 隣人に携帯電話でメールを送り、この顛末を話すと、今UMA と話してていそがしい、と、怒りを表す絵文字とともに淡白な文章が届いた。いや、それは喜ばしいけれどそんな言い方ってないじゃない、と、覗かれた怒りも再燃して、半ば逆恨みのように、少しくらい聞いてよ!、とメールを送ると、「インプリンティング!キャトルミューティレーション!過去の罪悪!OK!?」と、不可思議なメールが送られてきたので、不安感に取り囲まれる心持ちになった。 百合の花咲く墓地の花壇は闇に包まれ、影を踏もうにも全てが影だ。電話を弄り、そういえば彼に電話をしたとき長く話したから金が気になるな、と、花に似つかわしくない思いと、会話の内容が思い出された。「ドッペルゲンガーっていると思うか」「雪男よりは可能性があると思うわ」「雪男嫌いなのは性癖によるものか」「何か尖ったもので刺しましょうか」「毒のあることを言うな」「ごめんなさい」「君はまむしのようだ」「意味がわからないわ」 「僕を丸呑みさ」「ますますわからないわ」ほんと金を返して戴きたい。湖畔のキャンピングではカップルが死ぬように、この関係も終わりを告げるのかしら。もう長いものね。ふうっ、とため息をつくと、その吐息が高い場所まで昇っていくような気がして、少し気が晴れた。まんじゅうが墓前に添えてある。静寂の中、百足がその上を這う。無数の足音が、背中を撫でる様な気がして、たまらず隣のカップルの情事を凝視することにした。ネズミ男とお岩さんが土の上でくんずほぐれつがっぷり四つである。 電車も斯くやといった激しいアクションは、子供にはお見せできない代物である。腫れた皮膚の上を撫でまわすその手の動きが、百足の這う足に似て、またも少女は爆弾を使用するのであった。砒素になりたい、砒素になれば、犬のエサに混じっておなかをすかせた路上生活者を殺せるのに。様々を振り払うように架空の関係を夢見ながら、少女は墓地から出、廃墟然とした自宅に帰宅した。リビングでは悪魔と神が愛について激論を交わしている。 お客様が来るなら言っててくれよ、と思いつつ話を聞くと、両者似たような内容でつまらない。終いにどちらともなく、ほんとだな、嘘ついたら針千本呑ますからな!と喚くと、無数の蛇が現れその姿を細い金属状にしていった。〆切に追われる作家のように、余裕のない表情をした二人が我が家のリビングで揉めている。悪魔が長い爪で神の頬を引っ掻き、かあちゃんに言いつけてやるからな!と神が叫んだ瞬間、私は両者に熱湯をぶち撒けていた。 お茶漬けを出されたら帰れという意味だ。熱湯をかけられたら即刻帰れ。宣言し、自室に戻り、壺に入ったゴキブリ達を手でかき混ぜる。ぐちゃぐちゃと耳障りの良くない音がして、爪の間に液状の何かが挟まる感覚がする。指に絡まる長い触覚やこそばゆい足やなめらかな羽や弾力のある胴体の触感が、すべてどろどろしたものに変わると、私はとりあえずネットに繋ぎ、クリーム色に濡れた手でピースサインをつくり、撮影し、それをアップした。 ネットアイドルも楽ではない。ともかく液体が準備できたので、陣を描き、その中心に壺を据えた。雨の夜だった。壁にかかった絵を外し、それを炎で包み込む。人差し指を一本伸ばし、先端を燃え盛る絵に近づけると、熱い、という感覚とともに、怨念のような光につつまれた。濃い霧が歪んだ有機質の空洞に充満し、その長い道を歩いて行くと、全身を曲げられるような力を受け、自分が空洞の終端に張り付くような感覚を受けた。ねっとりと絡みつく壁面に取り込まれていき、片目が空洞の中に入り込むと、その目は荒涼とした空間を写していた。 言い争いを終えた神と悪魔が絵画を持って家屋を出る。血を流すぬらりひょんと小豆とぎと髪の長い少女が描かれた、殺風景な絵だった。