100物語ログ2
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【100題の題材一覧】

1 血  2 カメラ  3 学校  4 骸骨  5 ナイフ/刃物  6 誰もいなくなった  7 生贄  8 電気  9 人形  10 薬  11 妖怪  12 エレファント・マン  13 烏  14 バラバラ死体  15 首  16 呪いのビデオ  17 チェンソー  18 化け猫  19 大蛙  20 女と刃物  21 男とトンカチ  22 壁に浮き上がる顔  23 墓  24 蜘蛛  25 地震  26 火事/炎  27 ヴァンパイア  28 欠損  29 火の玉  30 狼男  31 悪夢  32 花子さん  33 魔女  34 鬼  35 腐乱死体  36 ゆらゆら  37 孕む  38 井戸の中  39 ぶつぶつ(ちいさなものがたくさん)  40 暴走機関車  41 密室  42 仮面  43 銃  44 フレディー  45 電波  46 地下  47 バスルーム  48 心  49 隣人  50 UMA  51 処女  52 キャトルミューティレーション  53 過去の罪悪  54 不可思議なメール  55 取り囲まれる  56 百合の花  57 闇  58 影  59 電話  60 金  61 ドッペルゲンガー  62 雪男  63 性癖  64 尖ったもの  65 毒  66 まむし  67 湖畔のキャンピング  68 長いもの  69 高い場所  70 まんじゅう  71 静寂  72 百足  73 ネズミ男  74 お岩さん  75 電車  76 子供  77 皮膚  78 爆弾  79 砒素  80 犬  81 廃墟  82 悪魔  83 神  84 愛  85 針86 蛇  87 〆切  88 長い爪  89 かあちゃん  90 ホテル  91 鎖/縄  92 ゴキブリ  93 ネット  94 雨の夜  95 誘惑  96 病院  97 怨念  98 霧  99 歪曲  100 自分

 

20 82 悪魔  13 烏(鳥)

アニュウリズム [Home Page] 2004/6/24 (Thurs.) 13:59:02
初めましてアニュウリズムといいます
見知らぬ所のリンクからやってきました
知っている方々がいっぱいいるので
びっくりしました

今回、鳥と悪魔のお題を使い描いて見ました
是非また来たいと思います。

 

Re:初めまして
チェリーちゃん [Home Page] 2004/6/26 (Sat.) 04:54:39
アニュさんのオバケやっぱりすきです。
何処か知らない物陰で住んでいそう。愛せるオオバケって感じ。
いっぱい作って今度図鑑でも出してください。

 

Re:初めまして
kohji [Home Page] 2004/6/26 (Sat.) 15:55:20
上半分見えてるところからスクロールしていって
腹のラインでアニュさんぽいと思った

 

Re:初めまして
シュウ 2004/6/27 (Sun.) 07:06:53
アニュさん!
だ!
足がめっさ素敵〜

Re:初めまして
サイキ 2004/6/28 (Mon.) 00:29:36

  ゆらゆら揺れていた。
  その村には「陽気木」と呼ばれる太い神の木があった。村の祭礼の際には必ず御神酒を捧げ、人々は吉兆を占う。小さな祠があり、その木陰は村の安穏と豊かさを保証しているようだった。
  ワイニーという少年がいた。少年は母親に言いつけられて街まで母親が作った木靴を売りに出かけている途中だった。カンパルレラからの風が、やや涼しい春の日だった。木靴は重く、ブラライトの街まではまだまだ遠く、ちょうど、その村の真ん中にあった「陽気木」の木陰で休息をとっていたところだった。
  ゆらゆらと枝葉が揺れていた。
「ああ、心地いいなあ」とワイニーは呟いていた。「このままここにいて、眠っていたいなあ。街まで行きたくないなあ」と呟いた。
  枝葉が揺れた影は足元の黄色く花弁の多いパペーヤの花の上を行ったりきたりしていた。少し高い場所にあるワイニーの村ではパペーヤの花は普段あまり見かけないのだった。だから、幸運の花と言われてたので、見つけるのは嬉しかった。ワイニーがその花に手を延ばした時、ふいに声がした。
──オレガ買ッテヤロウカ
  ワイニーは周囲を見回したけど、誰もいないので、まさか自分に語りかけてきたのだとは思わなかった。
──オレダオレ見エナイノカ
  ワイニーは顔を上げて、揺れる枝を見た。一羽の青いトンガラシメン鳥が止まっていて、ワイニーの方を向いていた。小さな鳥だ。羽に虹色の光沢があって、陽光に輝いて見えた。まさか、とワイニーは思った途端に、トンガラシメン鳥はキッとワイニーを睨み付け、そして片羽を上げるともこもこと膨れ上がりはじめた。グルガラ病のようにぶくぶくと肉が盛り上がるようにして、膨れ上がった。
  ワイニーはその鳥の変化に腰を抜かした。
──マアマア。怖ワガルナッテ。
  鳥が喋っていた。枝がたわんで、鳥の肉塊はすっと地面に落ちた。
──オレガ買ッテヤロウと言ッテルノダ。ワイニー。
「ど、どうしてぼくの名前を知ってるの?」
  ワイニーは腰が全く抜けてしまったまま、訊いた。
──俺ハナンデモ知ッテルノダ。
  それはもう鳥ではなかった。全身がグルガラ病のように膨れた、大きな腹とつぎはぎだらけの身体をした奇怪な生物に変身していた。何もない肉の塊に横一文字に裂け目が出来、それが口になった。卵を剥いたようにクルリと目玉があらわれた。
  あわわわわわわ。ワイニーはその場で硬直して、今にも泣きだしそうになっていた。

  それが靴の代金と共に、甘く陶酔するようなお菓子をくれた。
  ワイニーは恐る恐る口にしたのだったが、一瞬で口の中で蕩け、甘い感覚が全身に回るのが感じられた。
「ああ、こんな食べ物がこの世にあるなんて」
  ワイニーはあまりの心地よさに、その場で眠りについた。
  数日経ってもそのお菓子の味が忘れられなかった。あまりの心地よさに自分は王様だと思える程に、なんでもできる神様のように感じられて、この世は天国のような気がしたのだった。
──あのお菓子がもう一度食べたい
  ワイニーはもういても立てもいられずに、再び、村への道程を急いだ。
  そして、「陽気木」の木陰に腰を下ろした。ここにいればもう一度あの鳥に会えるのだろうか。あの鳥はとても恐ろしいけど、どうしてもあのお菓子を口にしたいのだ。ワイニーはお菓子の魔法について夢想していた。
  翌日もまたワイニーは訪れた。
  3日目になって、やっと、あの鳥があらわれて、ワイニーに告げた。
──アレハ高価ナ品物ナノダ。オ金ヲ持ッテ来レバ与エル
  ワイニーは泣きながら家に戻った。ワイニーの家にお金がないのは分かりきってることなのだ。絶望的な気分で、他のことをすれば気が紛れるだろうと願ったが、無理な話だった。どうしてもあのお菓子のように幸せになることができる訳はなかった。毎日あのお菓子のことを考えて過ごした。
  ワイニーの心にふっと誰かが囁いた。
  ワイニーは身体を売った。そして鳥に仕えた。

ごめん、本当は今日、ホラーの回が発行になる予定だったけど、難しそうです。。。もしかすると来週になってしまうかもです。。。すみませんすみません。延びてしまった上に発行が遅れるのは、本当に情けない。。。

 

 

19 47 バスルーム?

護国寺薫子 [Home Page] 2004/6/20 (Sun.) 13:50:29
サイキさん初めまして。こんにちは。
シュウさんのところから飛んできました。
素敵な企画だったので参加させていただきました。
最初はバスルーム・処女・生贄のお題で描こうと思ったのですが
出来上がってみたら血・バラバラ死体・縄にもちょっとだけ当てはまってました。
複数お題になっちゃいましたがすごく楽しかったです。

Re:バスルーム?
シュウ [Home Page] 2004/6/21 (Mon.) 00:23:05
薫ん子、こば〜
キレイな塗りだ〜
またまたスキルアップね!
すごくホラー感もばっちりだね〜
いいなぁ

 

Re:バスルーム?
水野 2004/6/21 (Mon.) 00:24:21

 お姉さんにお嫁入りの話が来たのは私が12歳のとき、そして13歳の誕生日を迎える前にはさっさと嫁いでいってしまった。相手は遠い街に住むお金持ちだと聞いている。
 私とお姉さんはそんなに仲が良かったわけではない。ただ、彼女の結婚が決まった深夜、私は水のちゃぷちゃぷ言う音で目を覚ました。
 それは浴場のほうからだった。ちょうど人が湯船につかって、時折身体を撫でているような、ちゃぷ……ちゃぷん、断続的に聞こえてくる。怖くなかったと言えば嘘になるけれど、それより好奇心が勝った。私はまだ幼く、そして何より無知だったのだ。
 寝巻きのままベッドを抜け出すと、それなりに足音を潜め、息を止めながら浴室を覗いた。意外なのか当然なのか、そこには灯りがついていなかった。ぱたぱたんと雫の垂れる音が、暗闇のせいで余計に冴え渡る。
 しだいに目が慣れてきて、そのせいで明らかになった視界に、私は激しく後悔させられた。裸の女がこちらに背を向けている。そもそも年頃の女の裸体を見るのもこれが初めてだった。漆黒の中、しなった背中が、丸い尻が、細い腕が、艶めいて輝く。よくよく見ると、どうやったものか両手首にロープが巻きつけられ、そこだけは自由な指先がひらひら誘うように揺れている。お姉さんだった。
 血の繋がった存在のはずなのに、なぜだか私は彼女の裸体に凍りついた。逃げ出すことも出来ず、ただただ気付かれないよう、それだけを祈って、お姉さんの後姿を見つめ続けることしかできなかった。
「……どうやって死のうか」
 それは地を這うほどに低い声だった。
「薬たくさん飲むのがいいか、喉元ナイフで掻っ切るのがいいか」
 お姉さんはいつも物静かで、いっそ何を考えているのかすらわからない人だった。たまに口を開けば、その声はちょうど彼女の得意なフルートのような、そういう高くてか細いものだったはずだ。
「それともいっそ、このまま湯に沈んでしまおうか」
 私はほとんど泣きそうになりながら、唾を飲み込んだ。
「この身誰かに汚される前に。この身誰かに縛られる前に」 
 そこまで呟いて、ふいにお姉さんの肩が小刻みに上下した。……笑っている! すんでのところで悲鳴を飲み込むと、ようやく脚が言う事を聞いた。そろそろと後ずさった後、一目散に部屋に戻り、そして私は気を失うように眠ってしまった。
 翌朝、朝食の席でお姉さんはいつもとまったく変わりない様子でお茶をすすっていた。私は拍子抜けした顔で立ち尽くし、母に「早く座りなさい」と小言を言われた。
 昨夜の出来事は全て夢だったのか。ほっとしつつスプーンを手にとったその刹那、あの浴場の声が聞こえた。
「あなたのこと、ちゃあんと気付いていましたよ」
 カシャンと音を立てて私のスプーンは床に落ち、私は再び母に叱られた。お姉さんは伏せた瞳を上げることすらしなかった。
 それきり私はお姉さんを避けるようになったが、そんな私を尻目に彼女は静かな微笑のままお嫁に行き、何年か後には子どもも生まれたと聞いた。
 残された私はあの夜のせいなのか何なのか未だに純潔を守り続けている。

−−−−−
  はじめまして。Folio文字書き部隊の水野と申します。投稿ありがとうございます。
  久しぶりに文を書いたので、なんだかぎこちなくなってしまいました。せっかくの絵にとんでもない文をくっつけてしまって申し訳ないです……。

 

Re:バスルーム?
チェリーちゃん [Home Page] 2004/6/26 (Sat.) 05:02:41
エロチックで 怖くて素敵です。
下からの光がとても綺麗に描かれていて
縛り具合を一層ムーディーにしてていいですね〜。
水野さんのお話もしっかり妄想させて頂きました。身近なシュチュエーションと思春期の不安定さが怖さを実感させました
凄いな〜。一枚の絵でこんなに物語ができるんなんて。
おすそ分けご馳走さまでした。

 

Re:バスルーム?
kohji [Home Page] 2004/6/26 (Sat.) 15:58:26
バスルームで恐怖っていうと、「サイコ」
日本だと「垢なめ」という妖怪が居ますね。
浴槽に溜まった垢を舐めるだけという。

Re:バスルーム?
サイキ 2004/6/28 (Mon.) 00:42:11
護国寺さんありがとうございます。
バスルームで首のない身体とは、思いもよらなかったです。。ありがとうございます!
水野さんありがとう!
「この身誰かに汚される前に。この身誰かに縛られる前に」ああ!縛り!よからぬ想像をしてしまいました!

 

 

18 34 鬼  37孕む

kohji [Home Page] 2004/6/18 (Fri.) 13:10:43
「鬼」+「孕む」
ワリとそのまんまで

 

Re:鬼
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:22:48

 右大臣の娘が臨月だという噂が立ったのは雨が降り続ける春の日のことだった。右大臣は釈明して、それが何処の誰の子だということが分からないと伝え、宮廷は騒然とした。まさか殿方の名を娘は名乗らぬのかと人々の噂の種になり、やがて、娘の腹が破裂しそうになるほど大きくなった時に、娘は南大門の下でだれだか分からぬ輩に強姦されたのだと伝えられた。
 右大臣は娘を前にして説教をし、なぜもっと以前に経緯を語らぬのかといい、何故処置しないのだと叱った。だが娘は恐怖に身体をふるわして、答えた。
 それはけむくじゃらの奇妙な大男で二人の従者を殴って気絶させて駕籠の中に押し入ってきたのだ。娘は抵抗する余裕もなく、けむくじゃらの黒々とした巨大な男に抱かれたのだった。男はまさに鬼だった。鬼は娘に言った。
「やがてお前を迎えにくる」
 娘はそれから恐怖のあまりに身を震えさせて日々を過ごしていたが、徐々に膨れてくるお腹に気がつき、心を病んでしまった。

  うーん、ありきたりになってしまったんで、こんな感じ。。。ううう。ごめんなさい。

 一気に溜まってたレスを数本書いたっす。。息切れです。
  みなさまありがとうございますー!!

 

Re:鬼

シュウ [Home Page] 2004/6/21 (Mon.) 00:21:42
かっこいい〜
色が凄く素敵ですね

 

Re:鬼
kohji [Home Page] 2004/6/23 (Wed.) 15:03:37

- - - - - - - - 暫くして - - - - - - -

右大臣の娘が鬼の子を産んだという噂は都中を駆け巡ったが、
人の噂も七十五日とは言ったもので、しばらくすると誰もそのことを忘れてしまった。
全て娘の狂言であった。
産まれた子は寺に出され、籠担きの一人は打ち首に処せられた。
相手はこの男だった。
数年後、娘は許婚と結婚し、一生何事も無く暮らした。
右大臣の娘の名は鶴といい、籠担きの名は亀蔵といった。
今もわらべ歌にその名を残す。篭目篭目〜
鶴と亀がすべった

後ろの正面は、、、、鬼。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
蒟蒻物語集、巻三拾四之五「右大臣の娘が鬼を孕む話」より

 

Re:鬼
サイキ 2004/6/24 (Thurs.) 01:28:49
ああ、続きが!!

 

Re:鬼
アニュウリズム [Home Page] 2004/6/24 (Thurs.) 14:02:30
ヒー怖い!デモかっこいいです!
昔のホラー映画の絵の雰囲気がビシビシ
伝わってきます

 

Re:鬼
kohji [Home Page] 2004/6/26 (Sat.) 15:52:15
>アニュさn
ホラーっていうと、今どうなんだろ、
ジェイソンとか、あっち方面思い出す人の方が多いかなー?
俺は、やっぱ古い50年代とかのB級モノのイメージが強い。

>シュウさん
どうもー(^o^)

 

 

17 57 闇

2004/6/18 (Fri.) 02:18:24
明るい場所に闇があるのではなく、
闇がある場所に明るい場所があるのでもなく、
闇というのは、本来明るいものなのです。

 

Re:闇
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:21:55

  子供の頃の夢で闇の中で明滅する光の乱舞の夢をよく見た。記憶にある限り何度も何度も繰り返された夢だった。何も見えない夢で、僕はぼんやりと歩いているのだろうか、移動しているのだろうか。何かが運動するのが分かったのだけど、それが、何の夢だったのか分からない。きっと母の体内にいた頃の記憶が蘇って着たのだろうと思う。そう。僕の最初の夢の記憶は闇だった。
  光のあるところに闇は存在する。だけどその闇だらけの場所にいかなる光が存在するのだろうか。乱舞はある。乱舞は光の通過の過程だ。いっこのまっとうな焦点の定まった光ではなく、その場限りの一瞬の明滅、それが、光であるのか。僕は悩む。
  この苦悩の日々のある意味象徴ではないかと、思う。
  苦悩の連続でついに明かりが見えたのだと感じる時、その明かりは既に僕の手元にはなく、遠くのどこか誰か知らぬ人の元に辿り着いているのだ。
  僕はずっと闇のなかに残されてひとりぼっちで、右往左往しているのではないか。僕は求める
たった一つの明かりを求めてこの世に生を受け、そして、その明かりは手に入らないままこの生涯を終えるのではないか。ずっと一人で、誰にも理解されず、誰にも愛されることなく、この闇の中で僕は永遠にさまようのだ。永遠に。そしてとこしえに。闇。闇。闇。
  幸福な人々がうらやましい。安楽に生きることができればどれほどいいのか分からない。たった一つの明かりさえ、届かない僕にとっては、あらゆる人は明かりに包まれて、幸福そうに見える。どうして、どうして、どうして、どうして、どうして。僕はたった一人だ。ひとりぼっちなのだ。誰か助けて欲しい。何も要らないのだ。この身もいらない。心もいらない。たったひとつの明かりさえ手に入れば、もうそれだけで十分だと僕は思って、机のランプを付ける。
  書きかけの文章のあとに続く白い空白を見て、今晩も涙するのだ。
  助けてほしい。この永遠なる闇から。。。。

 

 

16
61 ドッペルゲンガー。

PINK [Home Page] 2004/6/18 (Fri.) 00:45:47
どうも。ドッペルのお題に惹かれて
描かせていただきました。


「ねぇねぇ、知ってるー?
ドッペルゲンガーに会ったら片方は死んじゃうんだって・・・。」

 

Re:ドッペルゲンガー。
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:20:22

 あなたと私はふたりでひとりなのとカナとマナは言いお互いに身体を抱き合った。私の目の前で二人は艶めかしい手つきと身振りでまさぐり合い、その身体を一つにした。カナを盗らないでとマナは私に言い、マナはカナを盗らないでと言った。彼女らは双子のように、まったく顔つきから動作までそっくりだった。だが、カナは私と関係を持ち、マナはそれを嫉妬して、カナに身をやつして私の前に現れ、私を誘惑した。私はカナ(マナ)に誘われて彼女の家に行くと、もう一人のカナが居て、混乱した。彼女らはワンルームに同居をしていて、私の前で抱き合いそう言ったのだった。
 私は1986年6月6日生まれ。私は1986年6月6日生まれなのと、どちらがともなく言い、まったく別の街に生まれて何の関係もない私たちは初めて出会った時に、やっと満ち足ることを知ったのよ。私は私に初めて出会ったのよ、と言った。私は混乱し、それがどちらが発した答えなのか分からなく鳴っていた。彼女らはベッドの中で上になり下になりして、私の目をくらませた。私は彼女たちの方に近付こうとしたが、彼女たちは私を止めた。だめよ。シンジ。あなたが加われば私たちとあなたはこの世からなくなってしまうの。だから、だめ。私たちは私たちどちらかとでしか駄目なの。ならば、なぜ自分を呼んだ。だって、あなたは真の辞でしょ。だから私たちと対の関係にあるのよ。マナ、カナ、シンジ。それらは本当は一つのものなの。たったひとつのものから生まれて、この世に三つに別れてしまった。それがひとつになってしまったら、すべては終わってしまうの。あらゆる意味はこの世からなくなって、あなたと私と、もうひとりの私は、消えてしまうわ。だから私たち三人は互いに傷付け合い、犯し合いながら、決して一つになってしまっちゃ駄目な運命なの。彼女たちの誕生日は私の誕生日でもあった。私は深い迷宮の中に居る心地がした。そして彼女たちを殺して私も死のうと考えた。そう、この勃起したナイフで彼女たちを切り裂きたい。彼女たちはくぐもった声をあげた。私は彼女たちの制止を退け、ナイフを刺し込んだ。世界の終わりがやってきた。私は絶叫の中、笑っていたのかも知れない。そして、暗闇が・・・・・・

 

Re:ドッペルゲンガー。
PINK [Home Page] 2004/6/21 (Mon.) 01:16:08
ぶああああっっ。
なんだかすごいストーリーがっっ。
そしてほのかにエロチズムが・・・!!
素敵な体験できてうれしいですわ><
自分の書いた絵にはいつもストーリーは
ないので、初めてストーリーを連想させるような絵を描きたいと思うキッカケになりました!貴重な体験ありがとうございますw

 

15
6 誰もいなくなった

デス [Home Page] 2004/6/17 (Thurs.) 12:15:48
こんにちは、初めましてー。
ホラー大好きなので参加させていただきました。
ではー。

 

Re:6 誰もいなくなった
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:21:38

 ふとベッドの上で目覚めたとき、加奈子は家の中が空白のように感じられて、ママとパパは買い物にでも出かけたのだと思った。日曜の午後、ぼんやりしてるうちに居眠りしてしまったのだろう。加奈子は汗をかいた服をウゼーと感じた。
 廊下に出ると、更にひんやりとした空気が流れていて、あれ?と思った。
 どうしてあんなにわたしのへやは暑くて息苦しいのにと思った。階下に降りると、びっくりして何かが起こってしまったのだと感じずには居られなかった。居間のテレビの部屋に血溜まりがひとつあった。それが弟の真一の部屋のある離れに続いた廊下に向かって転々と続いてて、慌てて、その跡を辿った。心臓が爆発しそうに感じ、真一が刃物か何かで傷つけられているような気になって、身体が震えた。何か大変な事が起こってしまったのだろう。血の跡は廊下を離れに向かっている。
 携帯のアドレスを慌てて探りながら、恋人のトシに電話をかける。
 ぷるぷるぷるぷる。。。。おかけになった電話はただいま電源が−−−−−−
 出てよ!と心の声が届くことなく、離れに辿り着くのが早かった。
 血はドアの下で切れていた。
 加奈子は真一の名前を呼んだ。返事はなかった。もう一度呼んで、変化がないことを知ると、加奈子は震えながら、ノブを回した。
 離れの中はカーテンが閉められ、真っ暗だった。加奈子の目には何も変化がないような感じがした。血も足下で最後だった。部屋には何も血の跡もなく、真一の姿もなかった。
 恐る恐る部屋の中に足を踏み入れてカーテンを開けた。
 何も変化はなかった。数年前にねだって買って貰ったギターが立てかけてある。汚れた服をそのまベッドの上に放り出していた。使わなくなった柔道の胴着が壁のハンガーにかかったまま腐っている。雑誌が床に投げ出されている。机の上には漫画が無造作に詰まれている。開いたままのノートが見える。計算の途中で諦めたように、ぽんと置かれたまま、何も変わりない日常の、普段通りの様子だった。
 加奈子はだが、それだけに、恐怖を感じた。廊下の血とこの状態が全くちぐはぐなのだ。加奈子は、もう一度トシに電話をかける。かけたが、電話は不通のまま、諦めて加奈子は家の中を真一の姿を求めて探索する。がたがたと身体が震えているのが自分でも感じられた。
 何が起こったのだろう。
 いったい何が起こったのだろう。
 テレビをつけた。
 ざーーと砂嵐が吹き荒れていた。慌てて外に出てみる。人々を探して駅の方に足を向ける。
 世界からだれも居なくなったのが分かった。加奈子はひとりぼっちになってしまった。

 

 

14
28 欠損


律尾 2004/6/16 (Wed.) 00:57:31
はじめまして。おじゃまします。
描かせて頂きました。
失礼しました。

 

Re:欠損
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:21:14

  モンタージュができあがってきて、石野警部は戦慄した。目撃者の証言はまちまちで、全く犯人の様子はバラバラに記憶されていたのだったが、彼らのすべてのモンタージュの結果に、その男の前歯が一本抜けているのだけは符合していた。それは、全くおかしな事件だと言えた。
 突然町中で暴れ出したその男は刃物で人々を切り付けてどこかへ消えた。何処の街で起こるか分からなかった。午後の昼食後の一時間ぐらいの間に、その事件は立て続けに数件起こり、人々を震撼させたまま、始まったと同じように、とつじょとして鎮静化した。そしてその事件を目撃した人々はこぞってその男は、歯が一本欠損しているのだということを告げ、事件は迷宮入りしたかに見えた。
 週刊誌に歯の欠損男を追えという見出しが並んだ。人々の話題は一時燃え上がり、やがて、また飽きて日常に戻った。
 そして再び夏がやってこようとしていた。
 欠損男捜査班に任命された石野警部は、その日も、起こるか起こらないか分からない事件に回されたことに苛立ちながら、署内の嫌な雰囲気を浴びて、クーラーの部屋の中で居眠りをしていた。
 と、小さな部屋の中にある電話が3台、同時に鳴り響いた。
 池袋と新宿と上野で同時発生しました、との連絡だった。それが未曾有の事件の始まりに過ぎないと誰もが予想だにしなかったことだったのだった。

 

13
14 バラバラ死体

モー [Home Page] 2004/6/15 (Tue.) 22:50:09
はじめまして。シュウさんのサイトから来ました。
面白そうな企画だったので参加させていただきました。
蝉の死体のつもりで描いたのですが、分かり辛くてスミマセン。

Re:14.バラバラ死体
シュウ [Home Page] 2004/6/16 (Wed.) 06:19:29
モーさんモーさん
なんか足が生めかすぃ〜なぁ
目つきが可愛いですな

Re:14.バラバラ死体
サイキ 2004/6/20 (Sun.) 22:20:47

 友彦の遊技のはじまりは蝉からだった。じ、じ、じ、と地面に落ちた蝉を手の中に入れて、人通りのない小さな路地に足を踏み入れて、蝉の身体をぐっと握り締めた。羽を震わすそれは友彦の手の中でじたばたと足掻き、腹腔の中から小水を漏らし始めた。手に力を入れてゆくと、外殻の感触が堅く感じられ、足が手の平を押して爪を立て始めた。蝉の匂いがむっと漏れだして、やがてセロファン紙を潰したような感触が手に溢れた。「あ、なんだ、こんなものか」
 動きをやめてしまった途端、友彦の興味は半減した。地面に捨てくしゃくしゃになった蝉の身体から透明な透き通った羽を引き抜いた。太陽に翳す。
 きらきらと乱反射して、陽光が友彦の目を射た。
 じっと見ているうちに、それは蝉ではなく、宝石のように感じ、羽は羽で飛んでどこかに消え去りそうに感じた。木々の葉っぱの葉脈のような蝉の羽。どこかにつながって行きそうな、蝉の羽。迷路のように互い違いの線が織りなす模様は友彦の胸を打った。綺麗だった。さっきまで生きていた生き物とは思えなく、またその見苦しいまでに地面を這っていた生き物とは思えなかった。
 生命は死を迎えると宝石になるのだ、と友彦は思ったのだった。
 甘美な死はそれまでの陰鬱な生を越えるのだ、と思うのだった。

 

Re:14.バラバラ死体
モー [Home Page] 2004/6/24 (Thurs.) 21:44:18
シュウさんありがとー。
シュウさんの素敵絵があったので、僕も参加させて頂きましたよ。
楽しかったよー。

サイキさん、素敵過ぎる文章どうも有り難うございました!
友彦って言う名前も、かなりツボに入りました。
編集作業大変だとは思いますが、ガンバってください。
次号楽しみにしております。

 

 

12
選ぶからだ

アバラ [Home Page] 2004/6/15 (Tue.) 02:46:13
シュウさんのHPからきました
大変興味深かったです

 

Re:選ぶからだ
シュウ [Home Page] 2004/6/16 (Wed.) 06:17:59
わいわい
骨太郎さんだ〜
なんだろう、どういう絵なんだろう
何となく人形に見えてしまうのが不思議で恐いなぁ…

 

Re:選ぶからだ
サイキ 2004/6/16 (Wed.) 23:14:13

 人生はルーレットのようだと人はいう。いつどのようなことが起こるか分からない。今は一瞬幸福であるだけかも知れず、次の一瞬にはどのような出来事が起こるのか分からない。ただ我々にできることは、判断不能な未来を目を瞑りながら手探りでゆくしかないのだ。我々は未来を選ぶ、そして未来に選ばれるのだ。
 和人がカップを落とした音がした。振り返ると、フローリングの床の上には茶色のコーヒーの水たまりができていた。
「どうしたの?」
 身体を丸め床にうずくまったようになった和人を見て彩女は訊いた。
「……身体が痛い」
 その和人の様子に不吉な前兆を感じ、彩女は慌ててた。
「寄るな」
 和人は顔を上げて叫んだ。
「どうしたのよ。一体……」
「……分からない。分からないけど、痛いんだ」
 和人は胃の辺りを手で押えて目を見開いていた。反らした背中は震えていた。歯がガチガチと噛みあわされ、苦悶の表情が浮かんでいた。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫じゃない……」
 尋常ではない和人の様子に彩女は携帯を手にした。救急車を呼ばなければ。手が震えていた。和人に目をやると和人は床に手を突き正面を見据えて苦痛に耐えている様子だった。
「はい。○○消防署です」
 電話の声は年老いた老人がのんびり語りかけているような口調だった。彩女が事を告げると老人の声は急に急ぎ足になり、「ど。どこですか。早く逃げてください」と告げた。
「逃げる?苦しむ和人を置いて?」
 彩女の頭が一瞬空白になった。
 その時、和人は大きな声で咆哮をあげた。びっくりして彩女は携帯を取り落とそうとする。和人の身体が徐々に大きくなってゆくのが見え、その表情は人が人でなく獣のように歪んでゆくのだった。
 グオオオオオオオオオオー
 和人であった生き物の身体からはち切れて衣服が飛ぶのが分かった。
 彩女はその目を見た。苦しみの中に怒りと悲しさを同居した目だと判断したが、巨大化した和人は天井に頭をぶつけるほどになっていて、あれほど病弱そうであった身体からは筋肉は盛り上がり、唸る口元には鋭い牙が見えた。
 それは和人ではもうなかった。
 犬のようにうなりながら、それは彩女の方に向かってゆっくりと身体を起こした。
 彩女はあとづさる。
 身体の力が抜ける。
 和人は和人ではない。もう別の生き物に変貌してしまっていた。

 その病原菌がどこから発生し、どういう経路をたどって伝播したのか全く不明だった。人の身体に住み着いたその伝染病は、一度感染してしまうと骨が急激に異常なまで発達し、それと共に理性を喪失してゆくのだった。
 彩女はニュースで聞いたその伝染病のことを思い出した。だが、身近な者が発症するとは思ってもみなかった。
 それはぬらぬらとした汗を全身から滴らせ、煌々とした目を見開き、無残なまでに大きく裂けた口からは涎をたらして近づいてくるのだった。
 彩女は喰われる、と思った。


はじめまして骨太郎様。この影のような人間のような絵、不思議です。じっと見てると人が奇怪な伝染病に犯されてゆくように感じました。とってもすきです、ありがとうございました。。

 

 

Re:選ぶからだ
アバラ 2004/6/19 (Sat.) 22:53:57
丁寧な感想ありがとうございます。
絵かきがえを描くことに対し
文章を描くことで返礼していただき
よき時代の返し歌を思い出しました、
ふぉりお 発行大変だと
思いますががんばってください
私も絵をがんばります


 

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51 処女

シュウ [Home Page] 2004/6/14 (Mon.) 15:23:52
森と海
こんにちわサイキさん
描かせて頂きに来ました〜
また描きに来ます〜

Re:51:処女
サイキ 2004/6/16 (Wed.) 06:07:21
あう。秋さんだー。さんきゅーです!て、血の海、キター!
「森が流す涙は血の色をしている。血はすべてを飲み込み世界を赤く禍々しく染め上げてゆく」
あ、なんか出来そう。できそう。。 ううう

 

Re:51:処女
サイキ 2004/6/16 (Wed.) 06:48:44

  森が流す涙は血の色をしていた。あの石が森の血液の流れを止める栓になっていたのかもしれなかった。ナツノは流れに流されないように足高の木の根に捕まりながらシュウに言った。
「やっぱりあの石を動かさなければよかったんじゃない?」
  シュウは首を振った。
「いや、よく見ると血が濁ってるだろ。この濁った血が森を病に犯してるんだ」
  ナツノは微笑んだ。
「シャーマンって訳?」
「そう。郷に入っては郷に従えっていうこと」
  未開部族の間では、人に病が訪れるのは血が濁って正常な流れを押しとめているからだという。19世紀まで西洋でも使われていたれっきとした医療なのだ。
「これで森が回復してくれればいいんだが」
  シュウは青天井を仰ぎ見て呟いた。
「きっと大丈夫よ」
  ナツノは答えた


(ぜんぜんホラーにならなかった。ごめん)

Re:51:処女
シュウ [Home Page] 2004/6/16 (Wed.) 22:37:27
ええええ
そういう企画だったのか!!
自分の名前だし!!
びっくりしました…
たまには血を入れ替え無いと駄目なんだよね
献血いかなきゃ
なんかストーリーとか付くなんて嬉しいですね

 

Re:51:処女
サイキ 2004/6/16 (Wed.) 23:15:13
あはは。名前つかっちゃったー

 

 

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