それはFolio6号発行前の出来事だった。6号(テーマ「ホラー」)の発行が予定より随分遅れている。とうとう延期予告した日にちも過ぎてしまったが、まだ発行されない。はて、6号大丈夫? と何だか心配になったわたし(ぱそ子)が、参加者だけに知らされている打ち合わせ用の掲示板を覗いたその時、事件は起きたのだった。
- サイキ 投稿日: 2004/06/27(日) 18:46
編集会議します。
これを見てる人の人数点呼します。
文章書く人、絵を描く人、すべての人にこのページを案内してると思うんで、
すべての人にお願いします。
次回以降参加しようと思う人、レスお願いします。
えっと、ホラーの回、日程どおりに出ません。
ししまるくんの方も手がいっぱいになってしまっています。
僕も手がいっぱいであれこれメール出したり、断られたりするのに疲れました。
編集に協力してくれる人が増えない限り、次回はないかもしれません。
また、参加者もいなければ、やらないかも知れません。
今後どうすればいいのか提案してください。
ちょっと、切れた。
なんですとー!? ど、どうなるFolio!?
そもそもFolioという雑誌は、編集長のサイキさんとwebデザイン担当のししまるさんの2人で構成されていて、あとは企画ごとにお願いした臨時の協力者から成立っていた。編集長の「長」は名ばかりで、実務、編集、連絡、企画などの業務をサイキさん一人でこなしていたことになる。
ま、いっぱいいっぱいになって切れるのも無理ないか。
と、呑気なことを思っている場合ではなかった。「点呼」、「すべての人に」、「次回はないかも」、なんて言われたら今まで編集掲示板を静観していた参加者は出てこざるをえない。この発言により、執筆陣、イラスト陣、連載陣一同が掲示板に次々に現れて発言する。
とりあえず、点呼代わりに参加表明する人、自分の出来る範囲ならと協力を申し出る人、言い出しっぺなのに「切れた」はないよと怒る人、サイキさんが始めたんだからやめたいならやめたらいいのにという発言、解決策を提案する人、作品は寄稿したいけれど編集は手伝えないという人。さまざまな反応が飛び交うが、仕事が忙しいのかみんなの反応を見守っているのかサイキさんはさっぱり掲示板に現れない。
……というよりも仕事をしている社会人には既に追いつけない猛烈な勢いで朝昼関係なくスレッドは伸びていく。
議論が議論を呼ぶ混乱。ホラー号の発行も迫っている。一体どうするんだろう、編集長。
でも、わたしの中には別の疑問が生まれていた。こんなに大変な思いをしてまで編集長は何でFolioを発行しようとしているのだろう。これはもう趣味とか道楽の範囲を越えているじゃないか、とわたしはスレッドを眺めながら考えていた。自分の文章を載せたいだけなら、雑誌を発行する以外にももっと楽な方法がたくさんある。インターネット上で行われているイベントに投稿してもいいし、個人のホームページで発表してもいい。こんなふうに大勢の物書きや絵描きを一同に集め、企画をたて、まとめ上げて雑誌を作るのは相当の労力がかかるに違いない。作品を掲載する作業、連絡の手間、そしてばらばらな思いをまとめあげ説得する手間。それを、ノーギャラで誰にも頼まれたわけでもなくがんばっている。一体何のために? 何のメリットがあって?
- サイキ 投稿日: 2004/06/29(火) 22:45
今から妄想を書きます。笑わないで聞いてください。
僕は、Folioを物を作る人たちの爆心地にしたい。
小説についての鼎談の際にも話したことですが、「読み手の何割かは書き手/書き手予備軍だ」ということ。
僕はその人たちに向けて、雑誌を作りたいと思います。
僕の妄想は、小説を書く人/書きたい人、絵を描く人/書きたい人、そしてあらゆる「創作」に従事してる人、そうした人々に向けて、物を作って行きたいと思います。
それにはアマチュアだろうがプロだろうが関係なし。逆に、制約がない分、「僕らのリアルな表現」が求められるのではないか、と思います。
それ以外の企画がどうとか原稿が集まる集まらない、WEBがどういう形でという話は、瑣末なことです。
それは議論して決めればいい。
ただ、一点。物を作る人に向かって、いい物を提示したい。
それだけです。
この雑誌にご協力願えるでしょうか?
お願いします。
そうした方向性を具体化するには、何人か編集陣として助けて頂きたいと思います。
すみませんが、何人か、お助けください。よろしくお願いいたします。
編集長の妄想発動により、今まで全く見えてなかったFolioの方向性が、少し垣間見えた、とわたしは思った。たぶんそれは他の参加者も同じ思いだったのだろうか。あちこちに飛び火していた議論はこれで一旦止んだ。
ああ、そういえば、わたしがFolioという雑誌にたどりついたのは、Folio3号(テーマ「童話」)が発行される直前だった。既に出ていた1号と2号を読みながら、作品やデザインより何より一番に興味を持ったことは、こんな酔狂なこと、一体誰が何のためにやっているんだろう? ということだった。
この思いは、自分が参加者の一人となって、創作を掲載してもらうようになってからもずっと抱き続けていた。編集長は何のためにこんなに苦労しながらFolioをやってるの? Folioで何がしたいの? と疑問に思い続けていた。長い間抱き続けていた疑問が、このサイキさんの書き込みによってすうっと解けてなくなった。
ああ、それなら面白い。そんなことが出来たら、手間や労力なんて厭わないくらい面白いんじゃないだろうか。
わたしは何だか高揚する気分を一生懸命抑えつけながら、何度も書きなおしてやっと掲示板に投稿した。
- ぱそ子 投稿日: 2004/06/30(水) 00:37
物を作る人に向かって、いい物を提示したい、か。いいですね、ぱちぱち!
物を既に作ってる人が嫉妬するような、
物を作ろうとしている人の動機付けや(〆切もその一つ!)刺激になるような、
物を作りたかったけど諦めた人や自分が作るなんて考えたことがなかった人が、作りたくなるような、
そんな雑誌いいですね。
webというツールを使えば誰でも出来るけど、誰でも出来る中でこんなすごいのもできるんです、みたいな。
既成のプロの作った出版物でもなく、無自覚に発信するアマチュアHPでもない、Folioというweb雑誌にぴったりな立ち位置だと思いました。
と、いうわけで妄想乗った。
能力あるなしは置いといて、わたし編集陣に立候補しておきます。妄想係。
…というわけで、わたし、ぱそ子が編集に加わりました。Folioの中身担当です。でもわたしじゃあ、創作以外のジャンルには疎いし、web作業はできないし…。
- 甲斐 投稿日: 2004/07/01(木) 06:04
ちなみに,以後どういう方向に進むにしても私の参加する余地があるのでしたら
参加する意志はあります.
私にとってfolioは多様な「場」のひとつですし,表現する場は多いほど面白いですから。
今までFolioの絵を描かれていた甲斐さん、美術(創作以外の媒体受け入れ)部門。Folioの中身担当。
- 甲斐 投稿日: 2004/07/02(金) 16:33
おわわわわ,なんか予期せぬ大役回ってきましたね@@
ええ,でも面白そうなんで協力させていただきます^^
- 徳保隆夫 投稿日: 2004/07/01(木) 22:56
私が Folio に求めるもの」は単純明快、「〆切」です。
私は、続けたい。そのためなら、サイキさんは大方針を出し、最終的に可否を決めるだけで、 実際の作業は全部私が引き受ける、という体制でも構いません。
私の仕事はサイキさんに夢を追う余裕を提供することです。淡々とした事務作業は全部、私が引き受けていい。
編集者が常にクリエイティブな作業ばかりしているはずがなくて、その作業のほとんどは砂を噛むようなものです。その部分を、私は引き受けるつもり。基本的に、企画案を出すといったことはしない。サイキさんの構想の実現に必要なものを、黙々と準備するだけです。
今までFolioの連載の原稿とweb作業を担当されていた徳保さん、web作業+事務部門。
そんなこんなで、今までのサイキ+ししまる編集陣に新たに人が加わりました。しかし、問題はまだまだ山積み。新編集陣が作られたけど、解決すべきことはたくさんある。でも、夢もある! 物を作る人たちの爆心地にしたい、かあ。いいなあ。できたらいいなあ。
ん? でもどうやって?
サイキ「えっと、今から考えます...」
どうなる!? Folio!!!!!
次号からがらっと変わる(予定の)Folioをお楽しみに。