vol.4

エロビデオの作り方

エロビデオの作り方


荒井禎雄

『エロビデオの作り方』というお題目は私にとって大変語りやすい。目立つなら今!とばかりにはりきって駄文を書き連ねてやろうと思う。
エロビデオ業界の内情など、普通に暮らしている人々にとって知りようもない事柄だと思う。どんな流れで作品が出来上がるのか想像もつかないという方も多いだろうから、まず初めに簡単な流れを説明してしまおう。後で項目ごとに説明していくので、とりあえずさらっと読み飛ばしていただきたい。

■エロビデオが販売されるまで

1.企画の立案(台本作成、予算の確定など含む)
2.キャスティング
3.撮影スタッフの確定
4.撮影
5.編集作業
6.倫理団体の審査
7.プレス
8.デザイン(ジャケット、チラシ、DVDメニューなど)
  ※本来ならばここに営業や広報が入るが、作品作り自体に関わる物ではないので省く。
9.販売(公開)

では項目ごとに説明していこう。

1 『企画の立案』

 まず何よりこれが大事だ。私は意外と細かなリサーチをし、それなりの企画書を書くのだが、メーカーが監督に金を渡して「好きにやってね」と投げっぱなしにする場合も多い。また、ただ『犯りたいだけ』の監督という困り者もいたりする。企画書を下さいとお願いしても、ペラ紙一枚に使いたい女優と2,3行の内容説明、欲しい金額だけ書いてきて「さあ撮らせろ。オレはビッグネームだ。出せば売れる。」と言ってのけるつわものもいたりして殺意を抱く場合もある。そんな場面に出くわした時は、ほとほと腐った業界だと涙が止まらなくなるのである。
 だが、そんなアホなやり方を説明しても何の足しにもならないので、優等生AV監督である私の考え方を書いておこう。あくまで『私の考え方』であって、AV業界の常識ではないのでご注意。

 企画立案の際にもっとも重要なのは『どの購買層を狙うか(どのジャンルにするか)』である。
 ロリなのか熟女なのか、はたまたデブなのかニューハーフなのか・・・。どういった嗜好を持つ人間をターゲットにするかで、かけられる予算やパブ(宣伝)を打つ場所、営業や販売ルートが変わってくる。この『購買層』と『販売ルート』と『宣伝方法』がしっかり見えているかどうかで、その作品が成功するかしないか(儲けが出せるかどうか)が決まってしまうと言える。この点は実は他の業種と変わらないのである。また、AVはジャンルによって売れる本数が大きく変化するので、『見込み本数』と『価格設定』の見極めも重要となる。基本的にマニアックな物ほど高利少売で、売れるジャンルであれば薄利多売になると考えてよい。

 次に重要なのが、他メーカーの作品との差別化である。  有名女優を使って売れそうな作品を作ったとしても、月に何百何千と発売される新作群の中に埋没してしまっては、大きなヒットにはならない。「あの○○ちゃんがこんなプレイを!」であるとか、「こんなフェチ映像が見れるのは○○だけ!」といったように、『他とは違う何か』を付け加える必要があるのだ。これも他業種の戦略となんら変わらない。

 色々と優等生発言を繰り返したが、何より重要なのは監督である自分自身が萌えるかどうかである。『自分の見たいエロシチュエーションを思い浮かべ、それに売れるための付加価値を付け加えていく』という方法がもっともベターなやり方だと思う。

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