vol.4

白い雨/喪服

「ここはどこだろう」
  玲子は雨戸が閉められた窓の外のことを考えた。もうそろそろ日が明けるのではないか。身体がぐったりと疲労しているにも関わらず、弾けるような意識が溢れていた。四角い箱に腕を付いて、尻を背後に突き出して吉田が秘裂を啜る音を聞いているのだった。ああ、そうか。私は犯されているのだ、と玲子は思った。
  吉田の舌はそのねちっこい性格を表わしてて、陰唇の周囲から内側から、襞の奥まで舌を差し込んでじっとりと時間を掛けて嘗めているのだった。もっと奥まできて欲しいとじれったく感じる。意識がズレる。窓の外はまだ雨が降っているのだろうか。玲子は腰を吉田の顔に押しつけた。中に出された精液を全部啜るつもりかと思った。
  お棺の上に座った老人のペニスが再び勃起してきたので、玲子は口を離した。
「お義父さん。入れて」
  部屋の中で二度づつ犯されて、その後、晴義が眠る部屋に降りてきたところで騒ぎを聞きつけた舅が参加した。
「なあ、玲子さん。わしらはあんたとずっとやりたかった。晴義はいい嫁を連れてきたが、わしらにはほとんど会わせてくれなんだ。なぜだ。あいつは親不孝だ。なあ玲子さん、あんたが晴義のかわりにわしらに孝行してくれ」
  そう舅は言いながら玲子に差し込み、玲子がイって身体の力が抜けると、口の中に精液を流し込んだのだった。
「良かったよ。玲子さん。これであんたもわしらの家族じゃ」
  姑は奥の部屋からバイブレーターを持ち出してきて、ローションを塗りたくって玲子の菊門に差し込んだりした。うふふ若い男の匂いは私を若々しくさせてくれると顔を紅潮させて、敏夫のペニスを嘗めていた。
  狂ってる、と玲子は思った。
  だが、一番狂っているのは私だ、とも思った。もっと欲しかった。なにも考えないように私を狂わせて欲しいと懇願したのだった。
  やがて敏夫と吉田が呼んだのだろう、地元の青年団がやってきた。
  敏夫が二階から持ってきた喪服に身をつつんで(もちろんローターを股間に忍ばせたままだったが)、彼らを迎え、順に玲子は彼らのペニスを含み、精を流し込んで貰った。もう名前も分からなかった。全身が彼らの精液でどろどろになり、レンタルした喪服は買い取る他はなさそうだった。
  彼らが持ってきた酒をコップでがぶ飲みしながら玲子は訊いた。
「あなたの名前はなんていうの?」
「そう、喜田っていうの? ねえ、喜田さん。あなたのおちんぽのお味教えて」
「ああ、喜田さんのおちんぽ大きい。わたしのおまんこが裂けるよう。裂けるよう。きもちいいよう」
「あなたはなんて名前なの?」
「そう。原田さんていうのね。原田さんも晴義さんにいっぱいお焼香をあげてってね。いっぱいわたしにお焼香くださいね」
「蒲田さん。蒲田さん。濃いのでたわねえ。飲んで貰って嬉しい? いいわ。美味しかったわ」
田崎さん。
黒田さん。
田亀さん。
飯田さん。
誉田さん。
田山さん。
岡田さん。
香田さん。
佐田さん。
栗田さん。
田端さん。
時田さん。
太田さん。
肥田さん。
そして田辺さん。
  ねえ、みんな晴義さんにちゃんとお別れした? わたしはいっぱいお別れしたよ。

  この乱交プレーの最中に女性が数人混じっていて、玲子は驚いたのだが、そのうちの一人が玲子の傍にやってきて(勿論突かれながらだが)、わたし、田辺先輩と昔付き合ってて、でも奥手だったからわたしにはなにもしてくれなくて、それでも好きだったんだよと玲子に言った。玲子はいとおしくて溜まらなくなり、バイブで散々その娘に気を吐かせてあげ、された。その室田って娘は玲子と抱き合いながら、お姉さんって呼んでいい? と訊いたので許可して、わたしもあなたのことを妹だと思うわと答えた。そうしているうちに、敏夫がまた玲子の元にやってきて股間を突き出した。
「なあ、義姉さん。あんた、これが欲しかったんだろ? 十分堪能したか」
「ええ。いっぱいいろんな人から貰ったから」
「じゃあ、これはいらんよな」
  玲子は手を伸ばして敏夫のペニスを掴んだ。
「だめ。おねがい。して」
  乾きかけた何人もの精液が玲子の口の周囲で皮膜を張っていた。コップの酒で口の中を拭って、酒を含んだままで敏夫を銜えた。
「熱い」喉を突くような勃起を手を添えて首を振りながら竿の中ほどからカリを目がけて舌の腹を使って何度も嘗めあげる。
  晴義さんにしてあげたかったことを玲子は何度も何度も彼らに対して繰り返していた。そう。わたしは晴義さんにもっといろんなことをしてあげたかったのだ。もっといろんなことをして、いろんなことをしてもらって。そうしてるうちにもっと分かり合えただろうか、と考えた。
  玲子の口の中で酒と唾液と生臭い男の味が混じり合い、徐々にゾクゾクとしてきた。敏夫の先端から先走りが溢れ出してくる。
「おうっ。気持ちいいぜ」敏夫は玲子の口から引き抜いて、「このままでは出てしまう」と言いながら背後に回って腰を掴んで引いた。玲子はいや、と答えて、身体の向きを変えて正常位の体制で正面から両手を広げ、膝を開いて彼を迎える。
  陰茎の先が玲子のお豆をぐりぐりと押さえてすっと下がって、びちょびちょと溢れている玲子のクレバスをぐいっと割って入ってくるのだった。
「ああぁ」
  背筋から脳髄まで一直線に身体を貫く感覚に玲子は溜まらなくなった。
「ああっ。いい」
「兄貴に見せてやれ。義姉さんはこんなに悦んでいるって」
「そうよ。私はあなたに愛されなかった分、皆に愛されたわ。もっと、もっと私をおかしくして頂戴」
  玲子は憑かれたように声をあげた。敏夫がぐいぐい力を入れて深く深く掘るように抜き差しをしてきたので、子宮口に何度も当って、その度に玲子は脳天が真っ白になっていった。
「ひやぁぁぁ。死ぬう」
  膣内をえぐるような肉棒が玲子を狂わせた。
  身体が知らず弓なりになってゆくのが朧げに分かった。腰はもっと更なる欲望を求めて敏夫の股間に押し付けてゆく。
「あああ! 死んじゃう。死んじゃう。いくううぅぅ」
  なおも敏夫のピストンは激しい動きを続けた。玲子は身体がバラバラになってゆくような絶頂の最中に祭壇の晴義の写真が目に入った。
  吉田が言った言葉を思いだした。「あんたの旦那、晴義はな、オレからお前の過去の話を聞いたんだ。聞いてお前のことを知ってから外国へ行ったんだ。分かるか。オレが言っている意味を」
  玲子の中で後悔と悲しみと共に晴れやかな気分が襲ってきた。そうだ。良かったのかも知れない、私のこと少しでも知っててくれて。そうよ。私は淫乱でどうしようもない女なの。あなたにはそうした姿見せてあげられなかったけど、でもほら、こうして見せてあげてるでしょ。私は、本当はあなたにこうして欲しかった。
「おう。義姉さん。いくぞ」
「ええ。私の中に出して。いっぱいいっぱいザーメン頂戴」
  敏夫のピストンが速度を増し更に玲子はぐちゃぐちゃになっていった。あなた。と思った瞬間、玲子は絶頂に達していた。
「あぁ――――」
  ほぼ同時に敏夫が達して玲子の中に勢いよく放出が流れ込むのが分かった。身体から力が抜けた。

  さっと強烈な明かりが部屋に差し込んできた。誰かが雨戸を開けたのだろう。もう朝になっていたのだった。玲子は余りの眩しさに手をかざしながら外を見た。
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「あ、雨」
  白い白濁とした雨が、しとしとと永遠に続くかと思われる程に降り注いでいた。葬儀の日はこれからだった。

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サイキカツミ
[HP]:ぞうはな
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