vol.4

エロビデオの作り方

4 『撮影』

 なんだかんだいって一番キツく、また楽しい一時である。女優やスタッフは一日単位での契約なので、絶対にその日の内に撮り切らねばならない。「100万の女優を使って撮りこぼしたからもう1日。」などと言ったら、また100万+スタッフ人件費が1日分余計にかかってしまうのだ。監督やプロデューサーなどの現場責任者は、無駄な動きを極力減らし、なおかつキャストを含めた現場のスタッフがなるべく苦労せずに済むような時間割りを考える必要がある。またこれも裏話なのだが、プロダクションや女優には1作品の撮影だと言っておいて、実際は複数の作品の撮影を行うという反則技もある。通常、女優の身体を考えて、1日1作品分の撮影という前提、というか紳士協定がある。だが、そんなもん知ったこっちゃないというメーカーが殆どだったりするのだ。もしアナタがAV女優で、さっきまで女子校生の格好だったのに、次のシーンではボンテージ衣装、さらにその次のシーンではソープマットを使ったソーププレイ・・・などという現場に出くわした場合、間違いなく2ないし3作品分の撮影が1日で行われていると考えてよい。事務所にチクるべき。別にほら、オレはそんなんやらないし。あのね、1日に2作品も3作品も撮ってたら内容が薄くなってどうしようもないんですよ。ただ、それをやらざるを得ない弱小メーカーもまた存在する訳で・・・(以下危険発言&涙なしでは語れない話が続くので削除)

5 『編集作業』

 撮影したテープをパソコンに取り込んで、まずはシーンの順番ごとに繋ぐだけの荒編集をほどこす。そして細かいカット作業やエフェクトをかけて、モザイクが無いバージョンを完成させる。で、最後に1コマずつ(1フレームずつ)モザイクをかけて完成。言うのは簡単だが、モザイクをかけてる最中に発狂しそうになる。オレには10時間かけて1時間分のモザイク編集を終えるのが限界。素人にはオススメできない。作業自体は簡単というか単純作業なので、HD容量が100GBぐらいあるパソコンと、DVテープが動かせるデッキ、カノープスなんかの動画編集ソフトがあれば誰でもできる。金額的には50万もあれば十分な物が手に入るが・・・モザイク作業だけはマジでキツイ。目や腰を痛めても労災は効かないと思う・・・。

6 『倫理団体の審査』

 出来上がったマスターテープをVHSなどに落とし、必要な書類やらなんやらと併せて倫理団体に提出する。実は団体によって審査にかかる時間が全然違い、ソフ倫は丸々1ヶ月かかるが、これが全審という団体だと1日で審査が終るのだ。ただ団体ごとに格があり、どの団体を通しているかによって商品の扱いが大きく変わる。特に秋葉原や大阪の日本橋などのいわゆる電気街は、ソフ倫やビデ倫を通した作品でないと『基本的』に見向きもしてくれない。また、レンタル店に流通させる場合も、ソフ倫かビデ倫の審査が必要だ。おまけに倫理団体ごとにモザイクの濃さとか大きさなどの規定が違うので、撮影前にどの倫理団体を通すのか、そのためにはどのようなアングルや内容が好ましいのかまで考えておかないといけない。例えば、ソフ倫は「男性の性器のカリの部分と棒の部分の色の変化が分かってはいけない」という規定があるのだが、撮影の段階でそれに気付かず男性器のアップばかり撮ってたりすると、編集の段階で画面いっぱいにとんでもなく濃い、昔でいうヒントでピントの16分割クイズのようなモザイクをかけるハメに陥ってしまう。こういった情けない失敗を犯さないためにも、出来れば企画の立案の段階でどの倫理団体を通すかと、その倫理規定に沿って面白い映像を撮るにはどうすればいいかの2点は考えておくべきだ。

 この審査団体という存在は、良くも悪くも色々な意味で面白い。出来ればもっと語りたいのだが・・・とりあえずそれはまた別の機会に。

3 / 4
次へ
eros