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おいしい水サイキカツミマインドシンコペーション 友人の葬式のあと、響が電話をかけてきた。参列した友人たちと多少飲んでたが、あまり喰えなかったしそのまま帰るのもなんだか気分が悪いので電話の内容は「飯を喰おう」だった。そりゃそうだと僕も思った。その友人はもう30も手前になるのに、ビルの上から飛び降りて死んだのだそうだ。何が原因だかわからず、遺書もなかったみたいだ。僕と共通性はない学生の頃の友人に、久しぶりに会ったのがこんな日だなんてと多少愚痴っていた。そうか、でもまあ仕方ないよ、飯、何喰おうなどと話ていると不意に電話が遮断した。すぐに「ごめんごめん」トンネルをくぐったからと響からで、電話の後ろから雑音めいた乾いた音が聞こえてきた。 僕らは酔っぱらいをふっきった後、部屋までの間、ちょっと回り道をして歩いた。
100年。そうそう、去年はブルース生誕100周年だったようで、ブルースを題材とした映画も公開されて、ずいぶんと色々な雑誌やメディアでブルースについての記事を見かけた。ブルース大好きッ子だから嬉しいのだけど、さてはて一過性に終わらないで欲しいなあとか思う次第の今日この頃。 The Blues Movie Projectという、マーチン・スコセッシ監督が中心となって、7人の監督が一人一本ずつ撮った一連の映画なんだけど、春先になると日本語版のDVDが発売になるので、早くレンタル屋に並ンで欲しいものです。 ■ソウル・オブ・マン (THE SOUL OF A MAN)ブラインド・ウィリー・ジョンソンが映画の案内役になり、スキップ・ジェイムスとJ.B.ルノアーの人生を中心に描く。見どころはスキップ・ジェイムスの個性への追求とJ.B.ルノアーの公共性(当時盛んだった公民権運動へのつながり)で、同時代の古い映像とマッチさせて手堅く纏めている。いわゆる「ブルースマン」の人生を描くというのは、案外、定型的な描き方(綿花畑→街に出て→非業の死)に陥るのだけど、あまりブルースの歴史に目立たない三人を取り上げて、一部ドキュメンタリー的に処理することによって、それを回避している。監督はヴィム・ヴェンダースなので詩的な感興を映像化するのにはもってこいの監督で安心して見れた。ベックがJ.B.ルノアーの曲を演奏するシーンがすごいカッコいい。カサンドラ・ウィルソンが妖艶でいい。ジョンスペのスタジオライブ映像とかもカッコイイ。 ■レッド・ホワイト&ブルース (RED,WHITE&BLUES)ブリティッシュ・ロックとブルースとの繋がりを当時有名だったミュージシャンの記憶を中心に追いかけたドキュメンタリー。古いブリティッシュロックを好きな人が見れば、こんな人居たなあと懐かしがることができるのは間違いない。60年代にイギリスで流行ったスキッフルの話とかとても興味深い。見どころは、ジェフ・ベック、トム・ジョーンズ、ヴァン・モリソンのセッション風景と、シスター・ロゼッター・サープ! ロゼッター・サープというゴスペル出身の歌手の古い映像が流れるのだけど、これが馬鹿みたいにカッコイイ。袖のないドレスを着て、SGを抱えて歌ってるのだけど、この数分だけの映像を見るだけでも価値はあると思う。逆に、古いイギリスのロックの周辺事情を知らない人が見たら、だれが誰だか焦点がとれてないので詰まらないかも。監督はマイク・フィギス。 ■ロード・トゥ・メンフィス (THE ROAD TO MEMPHIS)ブルースやロックの聖地、メンフィスにまつわるミュージシャンをB.B.キングやボビー・ラッシュを中心にアイク・ターナーやロスコ・ゴードンを交えながらメンフィスという「場」を描いた作品。ほとんどがロードに出てるミュージシャンの話とその語りで描かれているので、ロードムービーのようで見ていて気持ちがいい。見どころは俄然ボビー・ラッシュ。ボビー・ラッシュのエロソングをダンス付きでみることが出来て幸せ。あとはアイク・ターナーとエルビス・プレスリーに関する話とか、B.B.キングのライブです。B.B.キングの「Thrill Is Gone」っていう有名な曲があるんだけど、B.B.キングが凄いのは、年々その曲を進化させてるところ。どの映像やいつライブ行ってもアレンジが違うのは、さすが。監督はリチャード・ピアース。 ■フィール・ライク・ゴーイング・ホーム(FEEL LIKE GOING HOME)現役ミュージシャンのコリー・ハリスが案内役となって、ブルースの起源である西アフリカへの旅を描く。アメリカ本国だけでなく、音楽がアフリカへ遡及してゆくのが感動的。ドキュメンタリーとして視点が大きくワールドミュージックへの広がりがあるので、一連のブルース=アメリカ黒人という視点だけではないのが嬉しい。見どころはコリー・ハリスがアリ・ファルカ・トゥーレやサリフ・ケイタの所に行くシーン。アリ・ファルカ・トゥーレがどんな人か初めて知った。ワールドミュージック系では有名なのに映像なんてあまりない(はず。僕は始めて見た)人のセッションや生活空間がものすごく興味深い。ファルカ・トゥーレとコリー・ハリスのセッションは、ライ・クーダーとファルカ・トゥーレのコラボアルバムを思い起こさせる。びっくりしたのはサリフ・ケイタがタカミネ(日本の楽器メーカー。よく駅前で少年が弾き語ってるのはタカミネのギターが多いんだよ)のギターを弾いてて、サリフ・ケイタってタカミネで曲作ってるのか! なんて驚いたり。頑張れギター少年! あと、タジ・マハールの映像も良かった。監督はマーティン・スコセッシ。 ■デビルズ・ファイヤー (WARMING BY THE DEVIL’S FIRE)ここまでの映画、どれも見たんだけどこれがちょっとがっかりしたのは、少年がブルースに目覚めてギターを手に持ち歌い始めるまでの話なんだけど、架空の物語で、いわゆる「ブルース」の物語に引きずられすぎていたように思う。音楽映画は架空の話にするなら脚本をかなりしっかりしないとダメで、ブルースの映画なのにクラシカルのギター合戦で勝ってしまう映画「クロスロード」よりも脚本が酷かった。ただ逆にいわゆる「ブルース」ってなに? っていう人向きには、分かりやすいストーリーで、酒と女と音楽とみたいな典型的な物語を描く。監督はチャールズ・バーネット。 ■ゴッド・ファーザー&サン (GODFATHERS AND SONS)チェス・レーベルとマディ・ウォーターズがロック世代に向けて作った『エレクトリック・マッド』というアルバムを現代のラップとどう組み合わせるのかという映画。未見。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンが出てきたあたりから再評価されはじめた『エレクトリック・マッド』。昔はキワモノ扱いされたアルバムでした。監督はマーク・レヴィン。 ■ピアノブルース (Piano Blues)自身もジャズキチガイでピアノも弾くクリント・イーストウッドが監督。昨年なくなってしまったがレイ・チャールズが出てる。ドクター・ジョンも出てるみたいだ。見たいのだけど、イーストウッドの意向で日本ではWOWOWのみで放映されたので、まだ未見。誰かビデオに取ってたら、コピーしてください。お願いします。。。 以上7本の映画でした。加えて今年の春頃に公開となる一本があって、The Blues Movie Projectは終わる。 ■ライトニング・イン・ア・ボトル (Lightning In A Bottle)03年2月に行われたブルースのライブのドキュメンタリー映画。錚々たるメンバーで書き切れないので出演者は公式サイトで確認のこと。こんなライブを(B.Bが)死ぬまでに一度見てみたい。 そういや一連の(黒人系)音楽映画が去年今年あたりで大量に出回ってる。 ■レイ (Ray)昨年逝去したレイ・チャールズの伝記映画。トレイラーを見たんだけど演技が凄くよくできていた。 ■フェスティバル・エクスプレスジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッド、ザ・バンド、バディ・ガイ、フライング・ブリトー・ブラザーズなどがカナダを横断してツアーをした時の映像を映画にした(らしい)。アフリカ系アメリカ人はバディ・ガイだけかな? ■ソウル・サヴァイヴァー今丁度公開してるのかな? ブエナソシアルクラブのアメリカ版だという触れ込みだけど、その二番煎じ感覚ってひどいなあと思いながらも結局見るんだろうなあと思ったりします。サム&デイブのサム・ムーア、ウィルソン・ピケット、ルーファス・トーマス、カーラ・トーマス、ジュリーバトラーなど ちなみにブルース関連の映画をちょっと並べてみる。 ■ブルース・ブラザーズ言わずと知れたブルース・ブラザーズ。ダン・エクロイドとジョン・べルーシー。これを見ずして音楽映画を語るなかれ。映画も語るな。 ■ブルース・ブラザーズ2001上の続編。オールスターキャスト。 ■クロスロード伝説のミュージシャン、ロバート・ジョンソンに憧れる少年(ラルフ・マッチオ)がスティーヴ・ヴァイとのギター・バトルを繰り広げるw ■THE HOTSPOTマイルス・デイビスとジョン・リー・フッカーが参加したサントラしか見かけたことないのだけど、かなり(音楽的に)良さそうな映画です。監督はデニス・ホッパー。リンク先はそのサントラが収録された最近のコンピ。後半が件の映画のサントラです。 ■歌え!ジャニス・ジョプリンのように上のジャニスの映像を見て思い出したら、思い出して検索したらDVDが2月9日発売だそうで。そういやこのジャニス役の人死んじゃったんじゃなかったっけ?■ジャニスそのまんま、ジャニス・ジョップリンの伝記映画。凄い。ジャニス凄い。 ■Blues (だったような。。)確かSTINGが俳優(確かウッドベースを弾いてたような記憶が)とサントラやってたように思う。映画のタイトルも確か「ブルース」っていう題名だったんだけど記憶に残ってない。。一度深夜映画で見たような記憶があるんだけど。主題歌がB.B.Kingの曲でストーリー仕立ての映画だったように思う。 ■アリ厳密にはボクサーのアリの伝記映画だけど、音楽映画としてもよくできていた。しょっぱなからサム・クックのライブを模した映像で、サントラはブラックミュージックが満載してる。丁度、公民権運動と重なるので時代背景も分かって一挙両得。主演はウィルスミス。 ■ワッツタックスソウルの名門レーベルのスタックスレコード。1972年のスタックスのミュージシャンが一同に介したライブ映画。 ■オー・ブラザー!脱獄した3人の囚人のドタバタロードムービー。監督がコーエン兄弟で話題になった。 ■天使にラブソングを(参考)なにはともあれゴスペルを日本に広めた映画だと思う。 ■シカゴ・ブルース元はNHKのドキュメント番組。70年代の初めに放映された当時のシカゴのブルースの様子を描く。 ■アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァル 1962-1966ヨーロッパにブルースをひろめたブルースフェスティバルのライブ映像を集めたDVD。 ■伝説のテレビ映像「ザ・ビート」1966ブラックムービーを入れたら手が回りきらないのでとりあえずこれぐらいに。。。 以上 20050128
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